2010年9月27日月曜日

私は何者か?を探るためのモレスキンノート『モレスキン「伝説のノート」活用術』堀正岳・中牟田洋子著

モレスキン「伝説のノート」活用術
 堀正岳・中牟田洋子著






【ここ数ヶ月の私に、
      最も影響を与えてくれた本】
私がモレスキンのノートに出会ったのは、もう随分前(5年以上前)のことです。
日記と読んだ本の題名等を書き留めていました。
1冊全てを使いきった事もありますし、途中でそれっきりになってしまったものもあります。
それでもどういうわけか、このノートに戻ってきてしまうのです。
本書が出版されることを、著者のお一人である堀正岳さんのブログ「Lifehacking.jpを読んで知りました。
これほど指折り数えて、出版の日を待ちこがれる本も久しぶりです。
その日、仕事を終えて都内に行く予定があったので東京丸善オアゾで手に入れました。
一気に読んでしまいたいのですが、もったいなくてチョビチョビと読んでいきました。
読み終わっても、繰り返しページを開いてしまうのは、
ユビキタス・キャプチャー」の方法「3ステップ活用法」の所です。
私は人から話を聞いたり本を読んだりしていて、
「これはいただき!」と直感で感じたことは、即実行してしまう性格です。
今回もすぐに、「これだ!」と直感が働いて、
途中まで使ってそのままになっていた「モレスキンノート」無地(スモール)を使って、「ユビキタス・キャプチャー」を実践していました。
これほどまでに私の琴線に触れ、アクションを起こさせたこの本は、
私にとっての2010年ベスト3にランクインするでしょう。
【なぜ、私はモレスキンとモレ本に
            魅かれるのか?】
ではなぜ、モレスキンノートなのでしょうか?
たぶんというか〜私の好み〜につきるでしょうね。
シンプルで無骨で・・・
歴史を感じさせる所も好きです。

モレ本(モレスキン本)の中で、私が最も魅かれた部分は前述したように
「ユビキタス・キャプチャー」の部分です。

仕事も経験を積み重ね、自分なりの軸をもてるようになってきたここ数年、
マインドマップなどのツールを使って、
面白いアイデアや自分なりの気づきを得る事ができるようになりました。

以前は、自分の閃きや気になる事等は、
自分の内側に蓄積され、いざという時に滲み出てくるものだろうと、
今考えると随分大雑把な捉え方をしていました。

でも、その瞬間閃いたりいいなと直感が感じていることには、
私の中でどんなつながりがあったり、この先自分が向かっていきたい先には
どんな景色が見えてくるのだろうといった思いが湧き上がっていました。

それらをじっくりと見極めるには、
堀さんが仰る通り人生を手帳に入れていくいことが不可欠だと共感したからです。
そんな思いを知らず知らずに感じていたからこそ、シンプルで無骨なモレスキンや
何でも取り込めるEvernoteにひかれていたのだと思うのです。
【変化】
●ユビキタス・キャプチャーを実践するために、就寝前にモレスキンノートを開くこと。

●仕事帰りの車の中で、何をモレスキンにキャプチャーするかを考えることで、
考えても仕方のない思考の雑念を意識することができた。

●ちょっとした興味・関心を書き留めることで、更なる関心を広げることができた。
【私と手帳】


皆さんはご自分と手帳との間に、忘れられない思い出がありますか?
私はあります。

ワクワクするような話ではないのですが、
私にとっては自分の物の考え方の軸の一つになっている話です。



もしかすると、この体験があるからこそ「人生を手帳に」という堀さんのお考えに共感したのだと思います。
それは病気で亡くなった母が遺した手帳です。
亡くなった後、見つけた手帳です。

そこには闘病生活を綴った母の本音が吐露されていました。
私達子ども達には、いつも明るく気丈に振る舞っていた母でしたが、
治療の辛さや痛みが文字の乱れと共に心情が表れていました。
私が手帳を読んだのは、亡くなってすぐだったので、
どうしようもない思いが体中を駆け巡りました。

当然の事ながらすぐには受け入れられない母の死も、
波がありながらも当たり前になってきました。

あれから20年以上がたちますが、
当たり前であっても母が10代に亡くなったという喪失感は埋まる事など決してない、
ということも受け入れることができるように私も年齢を重ねてきました。
そんな風に穏やかに、でも、空いてしまった心の空洞を、
しっかりと支えてくれているのは、
生前の母の潔い生き方と苦しみに満ちた手帳の存在です。

一人の人間が生き、苦しみながらそれでも病と闘っていく姿を私に教えてくれた手帳の存在は、40歳を過ぎた私にも「残す、伝える」ことを意識させてくれました。
私が今回この本を読んで、「モレスキンノートに私の人生を入れたい」と考えたのは
以上の理由からです。

まずは、自分の思考のつながりを持たせたり厚みを持たせたいということ。
そして、いつか私の可愛い姪や甥が、
うちらのおばちゃん随分呑気に生きてたけど、
こんな事考えてたんだ~等とちょっぴり誇りに思ってもらえる日を夢見て、
今夜もモレスキンノートを開く事にします。

2010年9月19日日曜日

できないことへの努力をしいる〜松浦弥太郎著『最低で最高の本屋』

最低で最高の本屋 松浦弥太郎著

序文から深く考えさせられる文章に出会いました。
(P10)
「僕らが受けた教育は点数を競い合い、できないことへの努力をしいられ、常に前へ前へと背中を押されるものでした。~」



【~できないことへの努力をしいる~】
確かに学校にはそういう部分があります。
学習においてつまづいている所があれば、そこを何とかクリアしていかないと次に進むのが難しくなってしまうため、結果的に子ども達に「できないことへの努力をしいてしまう」のです。
更に文章は続きます。
「~その道の先にあるものは一流と呼ばれる組織に永久就職することでした。親から言われた「いい会社にはいりなさいね」という言葉。
それが最も良しとされた、いわゆる幸せになる方法という道でした。では、その幸せになる方法はどのくらい選択肢があるのだろう。
世間一般の視野で社会を見回すとあまりにも少ないことに気づきます。
そしてそのほとんどが学歴というハードルを越えた者だけに与えられた選択肢ばかりです。~」
誤解のないように言っておきますが、私も松浦さん同様「いい会社に入ること」を否定するつもりは全くありません。
それを達成するために、どれだけの努力と忍耐が必要か。
それによって培われた人間性はその人の人生を豊かに彩る大切な一つだと考えます。
ただ、私がこの文章に共感するのは、「学ぶ理由が、いい会社に入ることで得られる幸せに偏っている」という部分です。
学び=できないことをできるようにする努力をしいるもの
では無いはずです。
新しい事を学ぶことで、自分の視野が広がり、ワクワクして、もっと学びたくなる。
そんなサイクルがまわっていくのが私の夢です。
【プチ自伝】
本書には、松浦さんが高校を中退したワケ、そして、ケルアックの『路上』に憧れてアメリカに渡り、アメリカかぶれになって日本に戻ってきた事。
自分より年上の人と付き合って、ちょっと生意気になった自分を客観的に捉えている所を読むと、
「ああ、自分もそんな頃があったな」と素直に思えます。
松浦さんが自分の心が指し示す興味に素直に従い、そこでコツコツと学び続けた努力は、
「できないことへの努力をしいる」とは違う本来の学びの姿があります。
義務教育期間に、「好きなことをトコトンやる」事をこのまま当てはめてしまうことに、
私は疑問を感じます。
私は、子どもが小さいうちは「つべこべ言わずにまずはやってみようよ」
とこれまで通り子ども達を応援していきます。
でも、私の中心部分には「この子の得意なこと、トコトン好きなことって何だろう。それを伸ばすには学校で何ができるだろう」と試行錯誤する気持ちを常にもち続けたいのです。
そして、子ども達がやがてでていく社会には、学歴以外の幸せになる選択肢が当たり前にあり、
学びたいときにいつでも学ぶことができるシステムが当たり前のようあることを願っています。
それと同時に、大人の意識の中に「学歴以外の幸せ」を受け入れる
成熟した感覚を根付かせていくことも大切だと思います。
そういった感覚をこの「最低で最高の本屋」から感じとって欲しいと思います。

2010年9月4日土曜日

軸を支える原体験をもってますか? 西水美恵子著『国をつくるという仕事』

『国をつくるという仕事』西水美恵子著











連日の新聞には、「誰が首相の座に座るのか?」という記事が大きく取り上げられています。
不謹慎であることは十分に分かっているつもりですが、
どうも遠い世界のできごとのように感じてしまいます。
リーダーがクルクルと代わり、リーダーを決めるために政治が
動いている印象をもっているのは、私だけでしょうか。

本書は、世界銀行のトップを務めた著者が、
23年もの間に接した各国のリーダー達との真剣勝負が書かれたものです。
冒頭に書いたように、私が描いている「国のトップを務めるリーダー像」は
あまり良い印象とは言えません。
ですから、この本を手に取った時、国づくりのもっと生々しい話が書かれていると予想していました。
ところが本書には、世界的にも有名な国のリーダー達が、
最も国づくりに携わる人間として大切にしている「リーダーとしての軸」を、
著者とのやりとりの中で生き生きと描かれています。
現在、リーダーとして問題を抱えていらっしゃる方、これからリーダーとして活躍したいと考えていらっしゃる方には、ぜひおススメの一冊です。
【草の根】
国家レベルのリーダーにあまり良い印象をもっていない私は、
西水さんが関わった各国のリーダー達の姿に、驚きを隠せませんでした。
国のリーダーになろうと志をもった時は、
みんな気持ちは「民」に向いていたのでしょう。
でも、それだけではやっていけないことに気づき、だんだん理想として掲げてきた志が、いつしか違う方向に向いていたり、
自分ではそのつもりでも、やっていることに筋が通らなくなったりしてくる~。
西水さんが「この人は!」と信頼を寄せるリーダーについて書かれている章に、
繰り返し共通して出てくる言葉に次の言葉があります。
それは「草の根」です。
「草の根」、言い換えるなら「声無き民」のことでしょう。
リーダーの最も重要で不可欠な資質は、「草の根」を想い「草の根」の声に耳を傾ける共感性。
「何だそんなの当たり前のことじゃない」
「国をつくるという仕事」に携わる人には、
もっともっと複雑な資質が求められていると思っていました。
そうでなければこの、「ねじれた世の中」という船の舵をとることなんて不可能に違いない。
ところがそうではなかったのです。
ごくごく当たり前の、その国のもっとも弱者といわれる人々の声に耳を傾け、
それを踏まえて国をつくっていく姿勢が、リーダーに求められていたのです。
おそらく誰もが、その資質の大切さに共感を覚えるはずです。
しかし、その資質を保ちながらリーダーであり続ける事が、どれほど大変なことでしょう。
誘惑あり、しがらみあり、自己顕示欲あり~
その中で自分の軸をぶらさず、周囲と調和しながら国家運営していくには、
自分の軸を支える原体験をもっていることも、リーダー達に共通していることでした。
これは著者である西水さんご自身にも同様でした。
専門家としての知識・経験と共に、
とことん相手に共感できるという原体験をあなたはもっていますか?