2010年7月31日土曜日

モチベーション2.0からの脱出

『モチベーション3.0』
ダニエル・ピンク著 大前研一訳


思い出
私が中学生だった頃の話である。


そんなことを今まで言った事の無い両親が、
「定期テストでいい成績だったら、一つ願いを叶えてやる」
と言ったのだ。






私が選びに選んだ願い事は、映画「あしたのジョー2」を見に行く事だった。


今の中学生からすると、随分可愛らしい願い事だ。
本書より
私が本書『モチベーション3.0』を読み始めて、ふっと蘇ってきた思い出はこのご褒美のことだ。


両親が私に使ったのは、【モチベーション2.0】
ここで確認しておこう。


本書でいう、モチベーションの後にくっついている数字は、次のように使い分けられている。
モチベーション1.0:生殖など生存本能に基づくもの
モチベーション2.0:アメとムチによる動機付け
モチベーション3.0:内なる動機付け
著者ダニエル・ピンク氏は、
「〜工業化社会になってサラリーマン社会ができれば、アメとムチで駆り立てられた(モチベーション2.0)。


しかし、次第に機能しなくなり、モチベーションとは何か?を再び問わなくては行けない時代が来ている。」(P2)
と言っている。
これからは「〜先進国に残った作業の大半は付加価値を求め、
そのつど違う事をする、クリエイティブな作業」
が求められる時代に入っている。
そこにはもうモチベーション2.0は通用しないというのだ。

通用しない!?
それはちょっと困るのでは?
特に、【モチベーション2.0】を多用されている環境に育っている子ども達は・・・。
今回のタイトルにもしたように、
ついつい使ってしまうモチベーション2.0から脱出するにはどうしたらいいのだろう?

冒頭にお恥ずかしい昔話を書いてしまったが、
よく子どもに
「これをやったら○○を買ってあげる」などのアメをぶらさげる話を聞く。
私もつい口がすべって、小学生の甥や姪に同様の事を言いそうになって
慌てて口を閉ざす事がよくあるが、何でこんなことをいってしまうのだろう?と不思議に思う事がある。
今、冷静にその時の気持ちの有り様を想像すると、


私に限っては、どうも甥や姪に好かれたいという私のエゴが言わせているような気がするのだ。
「お前達のがんばりを私は見ているよ!」
「そしたら私がご褒美をあげるよ!」
という私のエゴだ。

よく考えるとこれはおかしい。
子どもが何かを頑張った末手に入れるものは、ご褒美でもお金でもなく、
できなかった何かの技や初めて知る知識だ。
だったらそれでいいではないか?
そのくらいの子どもとの距離感がちょうどいいと思うのに、
どうもこうベタベタと近くて甘ったるい距離が、
子どもを本来の学びの喜びから目を曇らせているのではないだろうか?
また、あまりにも短期で結果を得ようとする焦りからではないだろうか?
何でも簡単に手に入る今の時代、モチベーション2.0から抜け出すには
【人間の癖を直すしつこさ】と、
自分を律することのできる大人を含めた【環境】が必要だ。
本書にはそのツールも紹介されている。
活かす!
●「フローテスト」を受けてみる。
●タイプ1の宿題を模索する。
●フェデックス・デーを設ける。

2010年7月24日土曜日

強みはかけ算で!「強みを語る会」に参加して

最近、本屋さんでパーソナルブランディングに関連する本が増えたと思いませんか?

私も自分の得意な事や強みを活かして、人生を楽しみたいと思っている1人です。



本を読んだり、さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす
から自分の強みを知るストレングスファインダーを受けたりした事もあります。

客観的なフィードバックをもらうことで、
自分の気づかなかった強みを知ることができて、
自分への見方に幅がもてたように思います。

見方は広がったものの、ではその強みをどのように活かすか?
という部分がわからずにいたところ、
以前、mixiのコミュニティの勉強会でお世話になった市川光生さん
強みを語る会を開催していらっしゃることを知り、
参加させていただくことにしました。



人は鏡

語る会の大まかな流れは次の通りです。

●自己紹介
●強みについて説明
●伸ばしたい自分の強み

どのワークをやっていても楽しかったのですが、
私が印象的だったのは、
市川さんが会をスタートする前に、グランドルールとして


●人の話を聞く
●ネガティブなことを言わない

特に、集中して「人の話を聞く」ことは、
その過程で気づくことが驚く程たくさんあるので、
自分が話す事をあれこれ頭の中で組み立てているよりも、
思い切って聞く事に集中した方が断然面白いのです。

自分一人だけで考えるよりも、他の方の思いや悩みを伺っていると、
「ああ、この方はこうおっしゃっているけれど、実はこれが強みなんだな」
と、相手を鏡にして客観的に捉えることができます。

毎日の何気ないことにも、相手がいる時は自分のことをちょっと横に置いて、
相手にフォーカスして話を聞くことをオススメします。

強みはかけ算で

市川さんが次の式を教えてくれました。

強み=才能×知識×スキル


この話や参加者の方の話を聞いていて、次の事がフト頭の中に浮かんできました。

●強みは、自分の中の一つの強みはだけで発揮されるのではなく、
 自分の中の複数の強みが組み合わされて発揮される。

●強みは、個人単独で発揮するだけではなく、周囲の人との組み合わせによっても大いに発揮される。

私が勝手に作った式ですが、こんなことを思いつきました。

強み∞=1つの才能×知識×スキル×個人内複数才能×周囲の才能



なぜ強みなのか?

そもそも人は、なぜ「強み」を発揮したいと思うのでしょうか?

あくまでも私のことですが、やはり人生は有限だからでしょう。

限られた人生の中で、自分の力を存分に活かし切りたい、
と思う人ならば、やはりポイントを絞って力を注ぎ込むことになります。
では、その環境で自分の力を活かすには、やはり自分の中の
最も得意な所で力を発揮した方が、結果を出しやすくなるのではないでしょうか?

教育に活かす!

15歳までにその人の才能が決まる

では、15歳までに何をしたらいいのでしょう。

もう十分に言い尽くされて、私がいうまでもありませんが、
やはりしつけられるべきしつけを受け、
様々体験をすることが必要だということが
ここからもわかります。

そして、その子自身に自分の強みについて、
「ああ、私はこんな事が得意なんだなあ」
という事を認識させることも、それぞれの発達段階で大切なのでしょう。


私は、教師として一人一人の子ども達に「自信とやる気」
をもたせることをミッションとしています。
最近私が読んだ本の題名を使って置き換えると、
「強みとモチベーション3.0」となります。

これが私のライフワークになるのでしょうね。

あっ!そういえば、次回の市川さんの勉強会は、
ダニエル・ピンク著大前研一訳「モチベーション3.0」の
深堀読書会です。
私も参加させていただきますが、もし、関心のある方は
mixiのコミュニティ「21世紀の働き方・学び方・生き方
を検索してみてください。

2010年7月16日金曜日

ノートが増え過ぎて困っている人はいませんか?『「結果出す人」はノートに何を書いているのか 実践編』美崎栄一郎著

『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか 実践編
美崎栄一郎著







今日ご紹介する一冊は、スーパーサラリーマンとして有名な美崎栄一郎さんの新刊本です。
タイトルは『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか?実践編』です。







前作の『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』の続編に当たります。
前作を読んで、ノートの使い方を変えた方も多いのではないでしょうか。


今回の実践編は、そのように美崎さんの著書を読んでノート術を日々実践されている方や、
以前から自分なりのノート術を実践されている方25名の方のノートの中身が公開されています。


私もノートを書く時に、
得たい結果を意識したり付箋を活用したりと、
前作から得たことをアクションに起こしていることがかなりあります。


その中で出てきた私の悩みは、タイトルの通り〜。

ノートが増え過ぎて困る~!

●私のノート


●仕事のスケジュールを記入する手帳(ほぼ日手帳)
授業内容やその他のアイデア出しや流れを整理するためのスケッチブック(A4スケッチブック)
●メモノート(気づいた時にすぐにメモがとれるようにするため)

●プライベートで持ち運ぶのに手軽なスケジュールノート(A6)
●自宅でマインドマップをかくためのスケッチブック(A4スケッチブック)
勉強会やセミナーに参加した時に持ち運び便利なスケッチブック(A5)

まあ~何と6冊も使っていたのです!
自分でもビックリしました。

公私共に予め計画を練り、実行可能な形に落とし込むためにも、
「かく」「書く」「描く」作業が不可欠です。


ましてマインドマップをかくようになってその効果を実感してからは、
かかずにはいられなくなりました。
だって、アイデアはかいて出した方が断然面白いものがでてくるし、
何より自分でも思いもつかなかったアイデアに出会えるのが楽しくてしかたがないのです。

頭の中だけで堂々巡りをしている時間がもったいない!

というわけで、こんなにノートが増え過ぎてしまったのです。
まあ、さすがにどこへ行くにも6冊もっていくのは肩こりの原因になるのでそれはしませんが〜。

この状態を続けていく中で次に困った事がおきました。

それは~

冊数が増えるだけ、それらをつなぐ役割が自分の記憶に頼らなくてはならない

といった状態がおきてしまいました。



●どうしたら複数のノートをつなぐことができるだろう?


これを解決してくれたのが、本書P161の次の文章でした。


Q ホント、数を減らせればいいんですけど、自分の中で整理がついていないかな、と。


美 Qさんは冊数を減らさなければいけないように感じているかもしれませんが、
 何冊持っていてもいいと思うんですよ。それぞれノートの役割がきちんと分かれていて、
 どこに何を書くか本人がわかっているのだったら、それはそれで快適なはずですから。
 冊数が多くても、体力があれば問題ないです。(笑)


上記の文章を読んで、複数のノートを持つ事に多少の罪悪感?、無駄なんじゃない?などといった後ろめたさがかなり払拭されました。


私にとって、6冊のノートには確かに明確な役割がある。
用途はもちろん、ノートのサイズにも明確な役割がある。


だったらそれでいいのだ!
と割り切る事ができました。


ところが、複数のノートそれぞれに役割があっても、
それがバラバラで上手くつながっていかないという悩みが出てきました。


以前はそれで構わなかったのです。


でも、美崎さんの著書を読む中で、
「結果」というキーワードが、
私のこれまでのノート歴には不足していた事に気づいたのです。


仕事に関わるノートを、これまで何冊使ってきたでしょう。


各教科の指導計画をノートに書き、
1時間ごとの略案を、教師の発問と子ども達の予想される反応として
A4ノート1ページに書いていた時期もありました。


行事などのスケジュール、子ども達に話す事、つぶやき、などなど
あらゆることを必要に応じて書いてきました。


でも、それを見返すことはありませんでした
考えに考えた上でそれを実行したのだから、
わざわざ記録として残しておかなくても、
私の体の中に確かに残っているはずだ〜という変な自信のようなものが、
書いたものを保管する、見返すという行動をとらせなかったのです。


ですから冊数が増えるに従って、正直邪魔な存在になり、
ある時を境に、私はその溜まりにたまったノートを
全て処分してしまいました。


私は美崎さんの著書を読んだ時、この時のことを思い出しとても後悔しました。


だって、そこに書かれた内容は朧げながら私の記憶に残っているものの、
Googleで検索しても2度と探し当てることはできないのですから。


それをクリアーするために、私は次のことをルールにすることにしました。


●全ての学び(公私ともに)をノート1冊に集約すること。


ほぼ美崎さんの母艦ノートとメモノートの関係と同様です。
それに私はマインドマップ用のノートが加わるので、
可能な限りそれを切り離して母艦ノートの貼付ける事にしました。


●持ち運ぶノートと、置きっぱなしノートを明確にする。


職場には、マインドマップ用のスケッチブック(ニーモシネ181)
自宅には、同じくマインドマップ用のスケッチブックと母艦ノート。
その間を行ったり来たりするのは、メモノートと携帯用のマインドマップ用のスケッチブック(ニーモシネ183)、そして職場用のスケジュールノート。


今までは何となくやっていましたが、これからは意識をして使い分けをしようと思います。


いつも美崎さんの著書には、私にとって大きなアクションチェンジを
促されています。
意識せずにノートをとっている方、私のようにノートの保管に悩んでいる方、
ぜひ、読んでみることをおススメします!


●教育に活かす!


子どものノート術にも系統性を


受験を意識する前、つまり小学生の頃、
学校で書いたノートを、家に帰って見直して復習したことがありますか?


私は恥ずかしながら記憶にありません。


6歳から12歳までの幅広い年代の子どもが通う小学校。
ノートの使い方も系統性があっていいのではないでしょうか?

ただマス目にそって、見た目バッチリの仕上がりに書く事ばかりが
必要ではないはずです。

発達段階と学ぶ内容に応じて、ノートの取り方も変化可能だと
この本を読んで気づきました。


































2010年7月11日日曜日

ファシリテーター初心者の方へ ファシリテーターってどうやるの?

『今すぐできる!ファシリテーション』
堀公俊著





皆さんの近くに、
「この人が話し合いの進行をすると、
和気あいあいと和やかに話しがまとまるんだよね~」
という人、いませんか?

誰からも親しまれて、なおかつ頭の回転が早くユーモアもある~
独断と偏見ですが、著名人でいうと、個人的には次の方が当てはまるのではないかと~。







●清水圭さん
●ぐっさん
●NHKのアナウンサー 三宅民夫さん

どの方も思い浮かぶ表情は笑顔。
そんな笑顔でギクシャクした会議も参加者をリラックスさせ、
パンチのきいた質問を投げかけて有意義な会議にしてしまう、
そんなファシリテーターに少しでも近づきたい方にぜひ読んでいただきたい一冊です。


『今すぐできる!ファシリテーション』掘公俊著

●関連本との違い

このブログでも、これまでファシリテーションに関連する書籍をご紹介してきました
理由は、私自身がそのことに今最も関心をもっているからです。
おそらく多くの方にとっても大きな関心事だと思います。

それらの書籍と今回の『今すぐできる!ファシリテーション』では何が大きく違うかというと、
次の点についてです。

●ファシリテーションについて、理論より実践に重点をおいて書かれている。

●題名の通り「今すぐできる!」に特化して、
すぐに会議に使える「35のフレーズ」がのっている。

●章立てが、会議の進行に合わせて構成されている。

まずは第2章「効果的なチームをつくるためのフレーズ」を読んで、
実際の会議でできることを1つでもやってみようと思わせてくれる実践あるのみの一冊です。



●まずは一歩を踏み出そう!

●ゴールを設定する

ゴールとは、「話し合った末に生み出す成果(到達点)」のことです。
これを明らかにしないまま、ボンヤリとした議題のために
時間だけが過ぎていく、といったことがありませんか?


それを避けるために予め参加者全員で、ゴールを設定する話し合いをするとよいそうです。
だからといって白紙の状態から「さあ、どうしましょう?」とはじめることがいつもできるとは限りません。
時間が限られている時は、ファシリテーターの方からいくつかの選択肢を示し、
その中から選んでもらう方法もあるようです。


これは次回の話し合いから使えそうですね!
やってみたくなりませんか?

●ルールを決める

これは今回の『今すぐできる!ファシリテーション』だけではなく、
これまでの関連本からもその大切さをヒシヒシと感じてきました。

会議で避けたい場面の例として次の2点をあげます。

・意見が出ずに静まり返る。


・一部の人がずっと喋っている。

1つ目は、自己規制が互いにかかっている状態ですね。
2つ目は、会議の目的を勘違いしている人がいる状態。

その状態に陥ってしまうと、なかなかそこから脱出するのが難しくなってきます。
それを極力避けるために、先手を打っておくのです。

例としては次の投げかけが本書(P47)にのっています。


●愚痴や文句を言わず、前向きに明るく議論しよう


●肩書きや立場を忘れ、自由に意見を出し合おう


●人の話をよく聴き、相手の立場を尊重しよう


などなど・・・


●教育に活かす!

本書を読み終えた時、次のことに気付きました。


「ファシリテーターがすることは、教師がクラスを運営したり
1時間の授業を構成したりすることと似ている!」

たとえ1時間の授業でも、できるだけの準備をして臨み、
後はその場その場の子ども達の反応に応じて臨機応変に対応する、
ということを日々私達は行っているのです。

この本はファシリテーションに関心がある方は勿論のこと、
教師の方にもオススメです。
クラス運営や授業を、また違った視点で見直すことができると思います。
そして本書から「やってみたい!」ということを一つ一つ実践しながら、
笑顔のファシリテーターを一緒に目指していきませんか!