【ワケ】
これまで読んできたフィンランドの教育に関わる書籍から、
この成功の裏に教員養成に大きな鍵の一つがあることがわかりました。
フィンランドで教師になるには、大学院を出ていなくてはならないこと、
教育実習が中身も濃く、期間も長期に渡りとにかく専門性が高いことが分かりました。
かなりの狭き門をくぐって教師になった人達が、一体どんな毎日を送っているのか?
私達日本の教師達に何か参考になることはないか?
これらの答えを得るために読むことにしました。
本書はとても分かりやすく、まるでリッカさんが語りかけてくれるかのようでした。
「もっと早くこの本に出会いたかった!」
というのが私の正直な気持ちです。
PISA型学力で世界一を支える教師達が行っていることは、
何も複雑でも難しいことでもなく、
当たり前のことを当たり前に実践しているということがこの本で分かります。
では、どんな当たり前を実践しているのかについて2つお話ししたいと思います。
●教師
リッカさんが理想とする教師は、
「~子どもを知ることがまずとても大事で、自分が何をしているのかをよく知っていて、
自分の弱点をきちんと認識していて、担任しているクラスがどのようになって欲しいかという
ハッキリしたビジョンとアイデアをもっていること~」(P96より抜)
とのことです。
また、次のようにも言っています。
「~ダメなのは子どもを恐れる先生、いつも子どもを喜ばせようとする先生。
こういう人がいい先生になる可能性はほとんど皆無です。
~子ども達の友達になろうとして、子ども達と同じレベルでいようとする先生。~」
このようなことは当たり前に思われる方もいるかもしれませんが、
長い時間子ども達とだけ過ごしていると、時に勘違いしてしまうことがあります。
私も経験が浅い頃、身に覚えがあります。
子ども達にとって大人はあくまで大人で、友達ではない。
という当たり前のことが、
教師自身がそれに見合うだけの学びを体験したり考えたりしてこなかったりという実態から、
このような不幸を招いてしまうのです。
教師という肩書抜きの一人の人間として、
学ぶこと、自信をもつことが大前提なのだと感じました。
●学習
フィンランドも以前は、子どもを個人としてではなくグループとして捉え、
評価もテストの結果で行われていたそうです。
しかし今では、一人ひとりの学びを保障すること、
つまりオーダーメイドの教育が中心になっているのです。
理想と現実のギャップに苦しむ現場ですが、
本書に書かれていることはいたって「Simple」。
その子が理解していなければ、それを補う時間を確保する。
理解できるようにアプローチを変える。
そんな当たり前のことが「学力NO.1」の秘密だということが分かりました。
他にも、「クレームについて」「いじめについて」など、
教師として「Simple」な姿勢が書かれていました。
そして全体を通じて感じたのは、
その「Simple」な姿勢を保ち続けるための大切な土台に、
重要な「ヘルプ」「サポート」システムが機能しているということでした。
教師の専門性を高める努力を積み重ねると同時に、
それを社会全体で支えるプロがいてくれるというのが
何より大きな味方なのではないかと少し羨ましく思いました。
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