2010年4月27日火曜日

田中健彦著『フィンランド流 6時に帰る仕事術』

子ども達の幸せには、
大人達の豊かな生き方が問われるなあ~と思ったワケ


田中健彦著『フィンランド流 6時に帰る仕事術』










【ワケ】

ここ数年取り上げられているフィンランドの教育の成果は、
教育改革だけで上げているのではなく、それを支える歴史、文化、
そして生活全てに培った人間が作り出していったものだということが本書からわかります。

教育に関わる枝葉の部分をいくら真似ても、
根っこや幹の部分が安定していなければ,
やがてブームがすぎ去れば葉っぱは枯れ果ててしまうでしょう。

日本が成果をあげているフィンランドの教育を本気で学ぶ気があるなら、
根幹の部分から学んでいく必要があると感じました。

では、根幹の具体的な部分についてまとめていきたいと思います。


●働き方

フィンランドの職場では、完全フレックスタイム制をとり、
朝10時から午後3時までが、コアタイムになっているようです。

必ずしもそれを守らなければならないということではなく、
それぞれのライフスタイルに合わせて選択できるのです。

仕事の内容を上司と話し合い目標設定した後は、
それをどうこなすかは個人の自由にまかされるそうです。
結果勝負といったところでしょう。

では、なぜ短時間で成果をあげることができるのでしょうか?

私が「これは!」と感じたのは次の4点です。

・共通理解を図るためのネットの効率的な活用

仕事の進捗状況を逐一報告する「ホウレンソウ」という概念が薄く、
あくまでも個人で責任を負う意識が高い。

・メリハリのある会議

目的重視なので、あくまでも結論を出すことを最優先する。

資料の作り方の出来不出来などは問題ではなく、
単刀直入に議題に入り、意見を述べ合い、結論を出すことが大切。

・価値ある仕事に着手

目前の仕事に振り回されていると、それだけで「忙しく」毎日を過ごしてしまう。
しかし、実はそれは簡単なことでしかも新しい価値を何も生み出していない
かなりショックなことですが、このことから目を背けていては、個人も組織も成長していかない。

・休日は家族と

休日は家族とお金をかけずに、内容の豊かな生活を作ろうという意識が高い。
付き合いは、親戚や近所の友達が圧倒的。
中でも、近所のコミュニティの付き合いを重視する。

長い休暇の時は、自然の中で読書やスポーツを楽しんだりして疲れをとり、
再び仕事に向かうのである。

●なぜその働き方を選ぶのか?

では、なぜフィンランドの人々はそのような働き方を
当たり前のように選択しているのでしょうか?

・「個人で責任を負う」という意識

1809年のフィンランド戦争でロシアに占領されたフィンランドは、
その後110年間、ロシア皇帝からの圧迫を受け、
やっとの思いで独立を勝ち取った。

その後も様々な苦労を経て、小国フィンランドは、
グローバル化と科学立国、IT化を強め、国民の教育、
特に英語教育に力を注いできた。

このような歴史的背景から、自立・自律の意識を高めたようだ。

そして、小国であるがゆえに、近隣EUとの調和も大切にし、
貢献しようと努力を重ねた。

だからといって「モウレツ社員」になるのではなく、
あくまでも個人の生活、家族を大切にし豊かにしていく中で
「働く」という活動が位置づけられている。

個人の経済的な豊かさを追い求めるだけではなく、
個人やその家族、コミュニティ、国のメンタルの豊かさを追求することが、
フィンランドが積み重ねている成果の源だと思われる。

【教育に活かす!】

●「豊かさとは何か?」

とても大きな問いですが、このことを考えずには先へは進めないように思います。
机上の空論にならないように私なりの答えを出したいと思います。

●討論、質問する時の心構え

限られた時間の中で成果を生み出していくには、
「話し合い」を充実させていく必要があります。
そこで、私が実践したいこと、子ども達に伝えたいことは次の事です。

・自分の考えを周囲を気にせず堂々と述べる。


・相手の鋭い問いかけにも感情を交えず受け止める。


・スポーツのように正々堂々と臨み、終わったら根に持たず結果を重視する。

著者の田中健彦さんが述べられているように、
フィンランドと日本は共通点の多い国であることが今回とてもよくわかりました。

では、なぜ日本の教育は問題点ばかり指摘されてしまうのでしょう?

それは、上記でも述べたように、「豊かさ」という価値観があまりにも分散してしまい、
そのニーズ全てに応えようとしている正体不明の無言の圧迫が、
現場の空回りを招いているように私には思えるのです。

もう一度「豊かさ」って何だろう?と問いなおし、
大人の生き方、働き方を考え直すきっかけにしたいと思います。

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