齋藤 孝著 『質問力 話し上手はここがちがう』
気の置けない仲間と、何気ない会話は誰しもリラックスの素ですよね。
その一方で、それ程親しくはないけれど、その人達と会話したことで自分の視野が広がったり思考が深まったという経験がありませんか?
一体その差は何なのでしょう?
その秘訣は「質問力」にあるようです。
【話し上手な人の良い質問って?】
●具体的かつ本質的な質問
●互いに新たな気づきが得られる質問
【具体的かつ本質的な質問】
◆座標軸を使って
齋藤さんは座標軸を使って、「良い質問」を整理しています。
(以下P54抜)
「~まず縦軸(y軸)の上がプラス法句で具体的、したがマイナス方向で抽象的とする。
横軸(x軸)の右がプラス方向で本質的、左がマイナス方向で非本質的とする。」
この座標軸を使って「良い質問」と「悪い質問」を整理すると、
自分がこれから相手に伝える質問が、一体どの位置に収まるのかが分かるようです。
ちょっと角度を変えて・・・
みなさんにとって、「自分がされて嬉しい」質問はどんな質問でしょうか?
私は相手が、自分やその内容に関心をもってくれていることが伝わってくる
「本質的なもの」が嬉しいようです。
反対にあまり嬉しくない質問はどんなものでしょうか?
論点がずれていたり、自分が伝えたい内容とはかけ離れている質問は、
「聞きたくないのかな?」などと感じられて早々に話を切り上げようとしてしまいます。
「抽象的かつ非本質的なもの」は答えにくいものです。
しかも、相手がどんな答えを欲しがっているのかという意図が見えません。
日頃からこの座標軸を頭の中に入れておくことで、
今、自分がしようとしているその質問の良し悪しを意識したいものです。
【互いに新たな気づきが得られる質問】
◆頭を整理させてくれる質問(P59)
◆現在と過去が絡まり合う質問(P63)
(P61抜)
「質問とは相手の状況、相手の興味、関心を推しはかり、自分の興味や関心とすりあわせてするものである。」
「自分の一方的な興味だけで聞く質問は、相手にとって苦痛以外のなにものでもない。」
ここで大切なのは、「自分の興味や関心とすり合わせる」ということです。
とかく「相手の頭を整理する良い質問」ばかりを考えていると、
つい自分のことがおろそかになってしまいます。
次第に相手のことばかりを考えている状態に疲弊してしまい、
会話そのものを楽しめなくなってしまいます。
【教育に活かす!】
これらの「質問力」を身につけるために、斎藤さんが例としてあげられたいくつかのネタを抜粋します。詳細は本書をご覧ください。
●質問力ゲーム
(P30~抜)
①40人の学生がいたら5人×8チームに分ける。
②1つのチームが前に出て、順番に好きな本や趣味について短いプレゼンを行う。
③各グループごとのメンバーに1番から5番までの番号をつける。
④1番の人がプレゼンをしたら、各グループの1番の人が全員起立し質問をする。
2番以下同様に質問をしていく。
⑤最後にプレゼンテーターが一番いい質問を選ぶ。
もし、小学生がこれらのゲームを繰り返すと、自然に「良い質問」が分かってくるようになると思います。
そして、更に進めるとおそらく数人の子ども達は、
「プレゼンテーターが答えたくなるような質問がいい質問なんだ。」
と自然に気づくようになるでしょう。
●メタ・ディスカッション
(P32~抜)
「朝まで生テレビ」のように、7,8人が真ん中に座って討論する。まわりの人がディスカッションを見下ろして、採点するゲーム」
とあります。
これらのゲームに共通するのは、互いに質問している様を客観視させるということです。
話し合いの様子を客観視する中で、良い質問によってその話し合いがどのように変化していくのかも理解できます。
この学習は、ぜひ子ども達に体験させたいと思いました。
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